今回は、建物の目地を守るコーキング(シーリング)について、劣化の症状や原因・対処法を全部解説します!
コーキングはシーリングとも呼ばれ、建材の継ぎ目や隙間を埋めるために使われています。タイルやサイディングボードなどの建材と建材の間や窓のサッシなどの隙間に充填し、固まると伸縮性のあるゴム状に変化します。隙間からの浸水を防ぎながら、地震や熱による建材の膨張・伸縮を吸収し、建材が割れてしまうことを防ぐために使われます。
シリコンやウレタンなど、様々な素材があり、外壁から水回りまで幅広く使われます。
今回は、そんなコーキングが劣化してしまう原因と対処法についてご紹介します!
コーキング(シーリング)が劣化するとこうなる
残念ながらコーキングは消耗品で、5〜10年で補修することがメーカーからも推奨されています。
コーキングが劣化すると発生する症状をご紹介します。
ご自宅の外壁のコーキングもこんな症状が出ていませんか?今後の外壁トラブルを防ぐためにも、コーキングの点検・メンテナンスをお勧めします!
黒く汚れている
コーキングには、柔らかくして加工しやすくするために可塑剤というものが入っています。コーキング材と塗料の相性が悪いと、この可塑剤がコーキング表面に浮き上がってきます。
これを「ブリード現象」と言います。
黒く汚れたコーキングを見たことはありませんか?可塑剤が表面に浮き出てしまうと、塗料と反応したり汚れを吸収することで黒く変色してしまいます。
ブリード現象が起こると、可塑剤が少なくなるためコーキングが硬くなり、目地の痩せを引き起こします。近年はブリード現象が起きにくい「ノンブリードタイプ」のコーキング材も販売されています。
痩せてしまっている
可塑剤が溶け出すとコーキング自体が痩せてしまいます。薄く硬く、弾力が無くなっている状態なので、遅かれ早かれヒビが発生します。
目地から剥離してしまっている
タイルやボードなどの建材との間にぱっくり隙間ができてしまう状態です。
剥離してしまう原因は、施工から数年しか経っていない場合はプライマー(接着剤)の塗り忘れや、雨が降って作業を一時中断したのに、下処理をせずそのまま施工した、などの施工不良が原因です。10年程度経過していた場合は経年劣化と考えられます。
防水機能が失われた状態です。
ひび割れてしまっている
コーキングの真ん中に細かくひび割れが入っている状態です。経年劣化で起こるもので、その部分のコーキングの寿命を表しています。
地震や地盤沈下などで建物が大きく歪んだ場合は、耐えきれずひび割れる場合もあります。台風などの強風でも部分的に大きく歪んで破断する場合があります。
防水機能が失われた状態です。
真ん中から断ち切れてしまっている
ひび割れが進行すると真ん中に大きな亀裂が発生します。防水機能が失われた状態です。
コーキング(シーリング)はなぜ劣化する?
コーキングが劣化してしまう主な原因は以下の3点です。
1. 紫外線
2. 変形の繰り返し
3. 施工不良
1.紫外線
紫外線は、劣化の大きな原因の一つです。紫外線により、材料そのものが変質していってしまいます。
そのため、コーキング材の中には紫外線吸収剤などの添加剤が入っていますが、この添加剤が目地の動きなどによって表面に流れ出してしまうと劣化が加速してしまいます。
2.変形の繰り返し
コーキングは地震や熱による建材の膨張・伸縮を吸収し、建材が割れてしまうことを防ぐために使われています。
外壁は耐久性に優れるが柔軟性に乏しい材料で作られてるので、目地(隙間)がないと、動いた瞬間に割れてしまいます。目地の隙間をコーキングが埋めていて、建物の変形に合わせて伸縮します。伸縮を繰り返すと、コーキング内部の添加剤が徐々に外に滲み出てしまいます(ブリード現象)。
そうすると、添加剤が減ってしまうと紫外線による劣化が加速しますし、柔軟性も失われていきます。その結果、ひび割れなど、異常が発生しやすくなります。
3.施工不良
メーカーの想定耐用年数(5〜10年)よりもコーキングの劣化が早い場合は、施工時のミスが原因かもしれません。
充填する建材との相性や、上から塗装する塗料との相性が適していないと、耐用年数より早く劣化してしまうことがあります。
また、二液タイプのコーキング材料の場合は専用の器具でしっかりと攪拌する必要がありますが、専用の器具を用いなかったり、時間が規定時間より短かったりして十分に攪拌できていないと、うまく硬化せず、ベタベタ・ドロドロになってしまいます。これは時々見かけますが、除去するにもベタベタ・ドロドロなので非常に時間がかかり、補修する場合のコストが増加してしまいます。
材料の劣化ではありませんが、コーキングを充填する前に行う下処理がきちんと出来ていない場合にはコーキング全体が剥がれてきてしまったり、充填する量が少なく必要な厚みが足りない場合はすぐに破断してしまう場合もあります。
施工不良の場合は劣化度合いに関わらず、施工した会社に施工のやり直しを求めましょう。ちゃんとした施工会社であれば、施工にミスがあれば無償でやり直します。
対処方法
先述の通り、コーキングがひび割れたり剥がれて下地が見えてしまっている場合は、雨漏りをはじめとした様々なトラブルに繋がるため早急な対応が必要です。
ここからは、コーキングにトラブルが起こった際の、対処方法をご紹介します。
コーキングの補修方法
コーキングには打ち増しと打ち替えの2種類の補修方法があります。
打ち増し(増し打ち)
打ち増しとは、古いコーキングを除去せずに、目地に新しいコーキング材を充填する方法です。既存のコーキングを除去する手間がかからず費用も安く済みます。新設するコーキングに1cm以上の厚みが取れない場合は打ち増しはできません。
基本的には打ち替えが推奨されますが、ALC目地などでは打ち増しの方が適切な場合もあります。打ち増し=手抜きと書いて自社をPRしている業者やサイトもありますが、必ずしもそうではありません。建物や現場の状況により、最適な方法を選択する必要があります。
打ち替え
打ち替えとは、古いコーキングをカッターなどで除去し、新しく充填しなおす方法です。
打ち増しと違い、除去する手間と費用がかかります。サイディングの目地やサッシ周りの目地など、打ち増しの厚みが取れない箇所では必ず打ち替える必要があります。
また費用を抑えるためにご自分でコーキング補修を行おうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、コーキング補修は想像よりも工程が多く、大変な作業ですのでお勧めしません。
建物に適した材料選びだけでも数十パターンの中から適切なものを選ばなければなりません。たくさん失敗しやすいポイントがあり、失敗すると修正が大変です。
また中途半端にやってしまうと、そのあとできちんと補修をしようとした時にかえって工事費用が高額になってしまう場合があります。必ず施工業者に相談されることをお勧めします。
雨漏りの補修方法やDIYで施工可能かどうかはこちらの記事をご覧ください!
メンテナンス方法
コーキングの劣化自体を防ぐことはできませんが、耐用年数の長い高品質のコーキング材を使用したり、ノンブリードのコーキング材を選ぶなどで長持ちさせることは可能です。
また、直接紫外線や雨風に当たらないように、上から塗装することも有効です。
タイル面や打ちっ放しコンクリートなどの塗装できない外壁面であれば、防水塗膜コートという透明の塗料を塗布することで保護する方法もあります。
防水塗膜コートについてはこちら
まとめ
コーキングは消耗品のため5〜10年でメンテナンスが必要になります。
コーキングは、目地などの隙間から雨水の浸水を防ぐ重要な役割を担っているため、こまめな点検やメンテナンスが必要です。
また重要な部分だからこそ、DIYではなく外壁補修のプロに相談しましょう。