天井や壁から雨漏りしてきた! そんな時、どうしたらいいの?
こんな疑問に外壁メンテナンスのプロが解説していきます!
※コーキングは「シーリング」「シール」と言うこともあります。この記事では、後で出てくるシリコンシーラントと紛らわしいので「コーキング」と表現します。
雨漏りしたらどうすればいいの?
雨の日に天井から雫が落ちてきたり、床がじんわりと濡れてきたり、雨漏りは生活にかなりストレスがかかりますよね。
雨漏りしてしまい「自分でDIYしよう!」と思い立ったそこのあなた!ちょっと待ってください!
弊社では、雨漏り補修の依頼を多くいただいております。その中には、お客様がご自分で修理したけど雨漏りが止まらずご相談いただき、最初からごいらいただくよりも費用も手間も増えてしまった例もあります。どうしてそんなことになってしまったのでしょうか?
雨漏りの応急処置
滴ってくる雫はバケツや洗面器などで受け止めましょう。屋根からの雨漏りは、水がこれ以上入ってこないように、ビニールシートなどでガードしましょう。
応急処置をしたら、なるべく早く、きちんとした修理を行いましょう。
さて、ここからがいよいよ雨漏りの対処法です。
雨漏りの原因は大まかにはこの3つ。
- コーキング
- 防水
- 亀裂
今回は、DIYでやろうとする人が一番多い、コーキングについて説明します。
コーキングって?
コーキングは、建物の材料の隙間を埋めているブヨブヨしたアレです。このブヨブヨが建物の隙間を埋めることで、水の侵入を防いだり、風や地震などの衝撃を吸収したりしています。
これが劣化すると、壁から剥がれたりひび割れたりします。そうしてできた隙間から雨が入ってくると雨漏りにつながります。
コーキングは日光、雨風、地震などによって必ず劣化するので、定期的なメンテナンスが必須です。
この写真は経年劣化したコーキングです。カピカピになっています。このひび割れから雨水が入ってきます。さらに、剥がれて奥のバックアップ材(スポンジのようなもの)まで露出してしまっています。これでは雨漏りするのも当然ですよね。
コーキング材について
コーキングの材料や道具はホームセンターで入手することができます。ホームセンターにはいろんな種類のコーキング材が売っています。
その中にシリコンシーラントというコーキング材があります。慣れていない人はこのシリコンシーラントを使用してしまいがちです。
なぜなら、コーキング材の中で最も安価であり、さらに、接着性が良いのでそのまま充填すればくっつける事ができるからです。他のコーキング材は接着性が弱く、必ずプライマーという接着剤を別に塗る必要があるので、接着性の強いシリコンシーラントはとても便利です。
ですが、これは絶対に使わないでください!
シリコンシーラントって?
シリコンシーラントは、風呂場やキッチンなどの水回りに使うコーキング材です(皆さんがお風呂でカビキラーする部分です)。これを外壁に使ってしまうと、その時はいったん水が止まったとしても、後でもっと大変なことになります。大変なことってどんなことなのでしょうか?
シリコンシーラントを外壁に使うと…
塗装できなくなる
シリコンシーラントは撥水性に優れており、塗料すらも弾いてしまいます。
だから、シリコンシーラントで亀裂を補修した後、塗装するとこうなります。水平にミミズ腫れのようになっているところが、シリコンシーラントで亀裂を補修しようとした跡です。その上から塗装した為に、塗料が剥がれて、ふくらんだようになってしまっています。
コーキングは劣化していくものですが、その中でも紫外線が一番大きな劣化要因です。塗料の膜があることで、コーキングが直接日に当たるのを防ぐことができます。しかし、シリコンシーラントで目地を埋めてしまうと、塗膜とシリコンシーラントが接触する部分がくっつきません。
では、シリコンシーラントでコーキングした箇所以外を塗装すればいいのかというとそうでもなく、シリコンシーラント部分を丁寧にマスキングテープで区切ったとしても多少は被ってしまい、そこの塗膜はすぐに剥がれてしまいます。見た目も悪いし、そこから塗膜の内側に水が侵入しやすくなってしまいます。
油が滲み出てきて汚れる
外壁に使うコーキングの材料はノンブリードと言って、油が滲み出てこないものを使います。しかし、シリコンシーラントにノンブリードタイプはありません。シリコンシーラントに含まれる油が雨水と一緒に流れ落ち、黒い汚れを発生させてしまいます。これは非常に強固な汚れで、洗浄してもなかなか落ちません。
後の手間が増える、費用が増える
シリコンシーラントは塗料を弾くだけでなく、他のコーキング材も弾いてしまいます。
コーキングには1cm以上の厚みが必要です。厚みが確保できる場合には既存のコーキングを除去しない方が良い場合もあります。通常は溝の深さや部位によって、古いコーキングを撤去したりしなかったりしますが、古いコーキングがシリコンの場合は絶対に撤去しなければなりません。除去には施工以上の手間がかかりますので、除去せずに済めば工事費も安くできます。
しかし、シリコンシーラントが使われている場合は必ず除去しないといけません。それも、わずかでも残っていたら、次のコーキング材がくっつかないので、建物を削ってでも除去しないといけなくなります。費用もかかりますし、建物を傷つけることにもなります。もちろん、ゴリゴリ削り取るので、見た目も悪くなります。
最初は安くすんでも、後々雨漏りが酷くなったり大規模な修繕が必要になったときに、もっと費用がかかることになるのです。
というわけで、絶対にシリコンシーラントは使わないでください。
コーキングは自分でできる?
では、きちんとした材料を使えば、コーキングは自分でできるのでしょうか?
コーキングのやり方をザッと説明しましょう。
外壁のコーキングに必要なもの
- 軍手
- カッターナイフ
- ラジオペンチ
- マスキングテープ
- バックアップ材
- プライマー
- プライマー用の刷毛
- コーキング材
- コーキングガン
- ならしヘラ
コーキングのやり方
コーキングの際は必ず軍手を着けましょう。皮膚や物がコーキングで汚れてしまったら、すぐに拭きます。時間が経ってしまったらシンナーで落としましょう。ただし、シンナーはお肌にあまり良くないので使いすぎないように注意してください。
コーキング材の種類
コーキング材には様々な素材・選定条件があります。
- シリコン
- 変性シリコン
- ウレタン
- 油性
- ノンブリード
- 低モジュラス
- 高モジュラス
- 8020
- 8030
など。そして、必ず塗らなければならないプライマーもコーキング材ごと、接着する箇所の材質ごとに違います。
これほど種類があるのは、それだけコーキングが大切であり、残念ながら万能な材料が存在しないからです。優に100通りを超える組み合わせの中から、適切な材料を選定しなければなりません。
いかがでしょうか?
できそうですか?それとも難しそうですか?
ちなみに、⑤のヘラでならすのは非常に難しいです。何度も繰り返すと余計汚くなってしまいます。周りにも一度ついてしまうと完全に除去することはほぼ不可能です。ローラーでの塗装なんかよりもずっと難しい作業で、毎日施工している職人でも一人前になるまでに数年かかります。
コーキングは建物を守る重要な役割を果たしています。コーキングの出来で建物の寿命が決まると言っても過言ではありません。
雨漏りが止まらない…
注意して欲しいことは、コーキングが上手くいったからといって雨漏りがとまるわけじゃない、ということです。
なぜなら、雨漏りの原因は大抵、一か所だけとは限らないからです。また、コーキングが今起こっている雨漏りに直接関係があるとも限りません。雨漏りの原因を突き止めるのは、業者でも難しいのです。
これについてもまた別の記事を書こうと思います。
しかし、コーキングが雨漏りの原因であってもなくても、いずれは雨漏りの原因になることは間違いなく、修理は絶対にすべきです。
雨漏りしたら、業者に頼もう!
ここまで、雨漏りの対処法の中でも、コーキングに絞ってお話してきました。
まとめると
- シリコンシーラントでの外壁のコーキングは厳禁!
- コーキングを自分でやるのは結構面倒
- コーキングをしても雨漏りは完全に止まらないかも
- 雨漏りは業者に任せよう!
とはいえ、業者もたくさんいて、どうやって選べばいいか分かりませんよね。
塗装屋さんでは、コーキングには詳しくないこともあります。
防水屋さんでも、安さを売りにシリコンシーラントのような材料を使う業者さんもいます。
実際にいろんな業者さんと話してみてください。ただし、相見積もりサイトを使うとバックマージンが必ず発生するので、直接業者に問い合わせることをお勧めします。