運営していく中でのキーポイント
京都市西部にある閑静な住宅街の中のワンルームマンションの改修工事をご相談いただきました。鉄筋コンクリート(RC)打ちっ放しの、外観にもこだわった大規模なワンルームマンションです。
築年数はたっていますが、こだわった設計ときちんとした施工がされた、管理状態の良いマンションでした。このまま良い状態を維持し、建物の魅力を長期的に維持することが重要と考えられます。
建物の課題・問題
建物
鉄筋コンクリートの打ちっ放しが特徴的な建物です。基本的には外壁はコンクリート面ですが、一部タイル面もありました。
鉄筋コンクリート打ちっ放し部分
透明色のコンクリート用塗膜防水が施工されていました。耐久性に優れた良い防水で、まだ使用可能時期が残っていました。
見た目に関しても、大きな異常はなかったものの亀裂が入っている箇所があり、亀裂補修をご提案しました。
壁面(打ちっ放し部分・タイル面)のシーリング(コーキング)
劣化が進行していました。ひび割れなどが出来てしまい、雨水などが浸水してしまう状態になってしまっていましたので、補修が必要です。
シーリングはひび割れが起こったまま放置してしまうと、雨漏りなどの原因になってしまいます。シーリングは5〜10年ほどで経年劣化しますので、定期的なメンテナンスが必要になります。
サッシ(窓まわり)
一階にあるサッシは赤で塗装されていたのですが、赤色は劣化しやすく、チョーキングと汚れでくすんでいました。
また、サッシ周辺のシーリングの一部で不良になっているところからサビが発生していました。ここも要補修です。
また、上階のサッシにもシーリングの劣化が見受けられましたので、補修が必要です。
躯体
躯体とは、建物を支える骨組みのことで、床や柱、壁、梁などを指します。
鉄筋が腐食し、コンクリートが爆裂して鉄筋が露出している箇所がありました。このままだとさらにサビが進行して膨張し、その結果コンクリートが剥離・爆裂する悪循環に陥ってしまいます。
屋上防水
一部、ウレタン防水部分のトップコートが劣化していました。シーリング防水部分は汚れてはいましたが、異常はありませんでした。ですので今回は定期メンテナンスとして、トップコートを施工します。
屋根やベランダなどの直接外気に触れる場所は、紫外線や雨風などの外的要因で経年劣化が起こるため、防水層をそのままにしておくと防水機能までが失われ、雨漏りなどのトラブルに繋がります。
そのため、防水機能を持った防水層の上に、防水層を守るためのトップコートを塗装することで、外壁や屋上の防水層を守ります。トップコートだけであればコストもそれほどかからず、防水そのものを保護することができますので、非常におすすめのメンテナンスです。
実際の施工
建物に限らず、形あるものの経年劣化は避けられませんが、本物件のように定期的にメンテナンスを実施することにより、劣化の進行を遅らせ、建物の寿命を延ばし、価値を維持することができます。
コンクリート面の亀裂補修
コンクリート面の亀裂は、今回HSS工法を用いて補修しました。
HSS工法とは、亀裂に特殊エポキシ樹脂を注入することで防水・補修する特殊工法です。
今までの亀裂補修は、グラインダーなどでUカットやVカットをしてから樹脂などを充填し補修していましたが、HSS工法ではカットを行わず、亀裂に特殊弾性エポキシ樹脂を直接圧入することで、より優れた耐久性と凹みが発生しない補修を実現します。
亀裂箇所に対しノーカットで躯体を傷つけることなく、且つ補修後もあまり目立たなく補修しました。
シーリング打ち替え
ビルスターのシーリングについて詳しくはこちらから。
変成シリコンで打ち替えを行いました。
打ちっ放しの建物ですので、余分なシール材が周囲にはみ出さないよう施工後の美観も重視しました。
躯体の外壁爆裂部
バルコニーの外壁部にコンクリートが爆裂したことで中の鉄筋が見えてしまっている箇所がありました。
コンクリートの爆裂は、コンクリート自体が経年劣化でひび割れてしまうことで起こります。
ひび割れから雨水などが侵入することで中の鉄筋が錆びてゆき、その結果鉄筋が膨張しコンクリートを押し出してしまうことで爆裂が起こります。
中の鉄筋が錆びることでコンクリートが爆裂してしまい、鉄筋がむき出しになっています。
このまま放置してしまうと、中の鉄筋の錆が進むだけでなく、コンクリートが落ちて階下の人がケガ…ということにもなりかねません。
剥離している箇所をすべて撤去し、サビ止め・プライマー塗布した後、補修用エポキシ樹脂モルタルを使用し、成型補修しました。
ビルスターからのコメント
この物件は、数年にわたり継続して補修をさせていただいています。
足場不要だからこそできる維持工事をさせていただいています。
オーナー様も建物をきちんと維持していくことに積極的で、素晴らしい建物を長期的に活用していただけるように今後も協力させていただきたいです。