本当に安い?激安工事の秘密を解説!激安工事を依頼する前にぜひご一読ください!

こんにちは。

今回は、「外壁工事、足場こみで100万円!」などの、激安工事業者の安さの秘密やそのデメリットなどについて、外壁工事のプロがお話ししたいと思います!

激安の見積もり・・・本当に依頼して大丈夫?

ビルスターでは、いろいろなお客様のところへ現地調査・お見積もりに伺いますが、建築業の常で相見積もりを取られる方もいらっしゃいます。

もちろんそれ自体は悪いことではありません。適正な価格を探り、良い工事業者を探すための王道とも言えます。

しかし、こんな事例もありました。

30坪4階建の鉄骨ALCビル。メンテナンス状態が悪く、しっかりとした施工をする必要がある建物で250万円のお見積もりを提出しました。

すると、

お客様

「ほかの業者が100万円で足場を立ててやると言ってる。足場もいらないんだから80万円くらいでできると思ってた。」

とおっしゃられました。

弊社がお出しした250万円というお見積もりは、この建物の規模と劣化の進んだ状態からするとごく妥当な金額でした。決して高くはありません。(必要な施工は目地・サッシ周りのシール・亀裂補修・欠損部補修等の下地補修・塗装と外壁一式必要な状態でした。)

事前に取られていた足場込みで100万円という価格は驚くほどの激安です。一般的に、2階建30坪程度の一戸建ての価格です。こちらは4階建、さらに目地の多いALCですので、相場の半額以下と言えます。

当たり前ですが、工事費用は安く済むならそれに越したことはありませんよね。では、そういった激安の工事業者に依頼しても大丈夫なのでしょうか?

工事費用の大部分は職人の人件費です

ビルスターは激安施工店ではありませんが、適正価格でお見積もりをさせていただいているつもりです。

工事費用のほとんどは人件費で、あとは材料費と広告宣伝費・管理費というのが、どの業者であっても同じ工事費用の使い道です。工場の大量生産品と違い、現場で施工するものですから、人件費にきちんと充当する事が非常に重要です。

現場の職人にとってはお会いしたこともないお客さんです。当たり前ですが職人にも家族がいて、生活していかなければなりませんので、1日5000円や8000円でまともな仕事をしようという職人はいません。

適正な範囲での価格競争や、新技術の導入によるコストカットなどはどんどんやるべきですが、はたして最低賃金にも満たない金額で働く職人を使って、まともな施工ができるでしょうか?

「材料を大量に一括発注しているので…」本当にそんなに安くできる?

常套句として出てくる、材料の一括発注・独自ルート・オリジナル塗料などで材料費が激安なので…という言葉。

はたして、そんなに激安の材料があるのでしょうか?

もちろん、全く同じ材料であれば、安く仕入れたいのはビルスターもどの業者も同じです。ですが、塗料やシール材料は大手メーカーの材料がほとんどです。そんなに安く仕入れられるでしょうか?型落ちだから安い!なんてことも無い世界です。

また、外壁工事の場合、材料費は工事費用全体に占める割合はそれほど大きくありません。

どうせやるなら良い材料で・・・とお勧めするのも、良い材料を使ったからと言って、それほど値上がりするわけでは無いからです。

どんな施工になる?

現地調査をしているとこんな施工に出会います。おそらく、激安施工店はこういった施工を行っています。

激薄・下塗りなしの塗装

極めて薄い膜厚で、さらに下塗りなし。あっという間にペラペラと剥がれてきてしまっている塗装。

本来であれば洗浄・下塗り・上塗り(2回)と4工程必要ですが、それを上塗り1回、または2回だけする。手間は半分以下になります。材料も少なくて済みます。

もちろん、施工した直後はきれいです。お客さんは気がつきません。

シール(コーキング)は塗る・プライマーなし・攪拌なし

目地のシールは建物の防水に非常に重要です。目地のシールが切れてしまえば、建物の中に水がはいります。サイディングなどでは一部、例外がありますが、ほとんどの部分は目地のシールは非常に重要です。

塗られたシール

シールは厚みが10mm程度(最低でも5mm)を確保しなければなりません。しかし、塗ってあるものがあります。塗料ではなく、シール・コーキングが塗ってある。厚みは10mmあるでしょうか。施工したように見えるだけで、実際は無意味です。すぐに切れてしまいます。ですが、施工直後には見た目では判断できません。

そもそも施工していない

さらに悪いのは、そもそも施工していない場合です。塗装してしまえば施工したかどうかわかりません。

プライマー無し

シール・コーキングはどの材料を使うにせよ、外壁に使う材料であればプライマー(接着剤)を最初に塗らなければなりません。シール・コーキングの材料は接着性が弱く、そのままではくっつかないのです。目地の両側の建材(ALCやコンクリート、サイディングボード)とシール・コーキング材料をくっつけるのはプライマーの役割です。

プライマーなしは安いサイディングの建売住宅なんかでよく見かけます。同時に発売された住宅街すべてで、シールがベロンと剥がれてしまっているものです。
これは、明らかにプライマーを塗らずに施工したと思われます。プライマーを塗らなくても、新築時・施工時はきっちりしているように見えます。見た目ではわかりません。でも、数年たつと、当然剥がれてしまいます。

攪拌無し

攪拌なし・・・あるいは攪拌不良でしょうか。
塗装の下に隠れてしまう目地のシールには二液ウレタンをよく使います。1液のシール剤にくらべて安価で、施工性にも優れているためです。しかし、二液というだけあって、二つの材料をよく攪拌して混ぜ合わせる必要があります。

材料を混ぜ合わせるには専用の機器を使いますが、攪拌には15分もかかります。時間がない・お金がない現場であれば、15分は待っていられないのでしょうか。あるいは、専用の攪拌機器を持っていないのでしょうか。攪拌不良で硬化不良をおこし、ドロドロになってしまったシールを時々見かけます。

もちろん、きちんと硬化していませんので、重力に従って垂れ下がってしまいシールの機能がなくなります。さらに、ドロドロベタベタの状態ですから、次の工事のときには撤去に多大な手間がかかります。つまり、費用がかかります。

ビルスターでも、前の業者の施工不良によって除去に手間がかかる場合は追加料金をいただいています。

次の施工は通常の2倍のコスト!?取り返しがつかない手抜き防水工事

少し外壁工事ではなくなりますが、防水工事も同じく手抜き工事が多くあります。

シート防水の上にウレタンを流しただけの施工

流しただけのウレタン防水

ウレタン防水は流した後に、コテでならさないといけません。ですが、ならさずに流しただけのウレタン防水がよくあります。当然、厚さが薄いところ・厚いところが出来てしまいますので、薄いところから破れてしまいます。

漏水した密着工法の上にウレタン密着工法ですぐ膨れ

密着工法の上に密着工法。問題ない場合もあります。でも、すでに防水が劣化して下地に水が染み込んでしまっている場合、その上から密着工法をすればどうなるでしょうか?当然、蒸発して気体になった水分は行き場を失い、上から塗った防水を膨らませてしまいます。膨らんでも直ちに雨漏りするわけではないですが、水捌けは悪くなり、カラスなどに突かれたら簡単に破けてしまい、膨れがひどくなれば膨れている部分が薄くなって破れやすくなり、と悪いことだらけです。

手抜き防水工事はウレタンばかり?

手抜き防水工事はウレタンばかりなのでしょうか?必ずしもそうとも限りませんが、ウレタンで手抜き工事が多いのも事実です。

原因の一つとして、塗装屋さんでもウレタン防水の密着工法なら施工できてしまうためだと思われます。通気緩衝工法・シート防水・アスファルト防水などになると、防水屋さん(防水専門業者)でなければ施工できません。

でも、ウレタン防水密着工法であれば、塗るだけですから塗装専門でも施工できます。しかし、とりあえず施工できるのと、その施工が適切なのとでは違います。防水は下地の状態によって、次に何が施工できるかが細かく分かれています。防水業者もウレタン防水しかできない業者、塩ビシートが得意な業者、アスファルト専門の業者、など、様々な業者があります。

ウレタン防水密着工法しかできない業者が現地調査した場合、例え、塩ビシート防水通気緩衝工法が適切な現場であっても、ウレタン防水密着工法の提案をしたりします。良心的な業者であれば、他の業者を紹介したり、外注で適切な工法を施工させたりしますが、そうでない業者も多いのです。

きちんとウレタン防水をしていれば、次の施工も同じウレタン防水(密着)で施工できますが、一度、おかしな施工をしてしまうと次は完全に下地まで除去してやり直すか、、通気緩衝工法で施工しなければなりません。どちらも、密着工法に比べると高くなってしまいます。

ビルスターもウレタン防水・アクリル防水や長尺シートなどは自社施工もしますが、FRP防水やシート防水の場合は厳選した協力業者に施工してもらいます。防水はきちんとした施工をすることが極めて重要です。

結局は高くつく・その後も取り返しがつかない激安工事

きちんとした施工をしないと、その時にはきれいになったように見えても、すぐに再度工事が必要になりますし、その時には余計な手間がかかる(シールの撤去に2倍3倍時間がかかったり、剥がれかかった塗料を除去したり、防水であれば通気緩衝工法にしなければならなくなったり)ため、工事費用は本来の価格よりも高くなります。

施工不良の塗膜はなるべく除去しますが、除去したところと除去していないところには不陸(凸凹)ができます。

もちろん、下塗りをしっかりして、目立たなくしますが、元々平滑なちゃんとした塗膜の上に施工するのとでは、やはり仕上がりにも差が出てきます。差をなくそうとすると、追加で費用がかかります。

シールは可能な限り除去しますが、細かいところに入り込んだドロドロのウレタンは除去し切れるものではありません。

やってはいけない防水工事をしてしまっている現場では、本来なら上から簡単に施工できたはずの工法が採用できず、通気絶縁工法のシート防水しか選択肢がなくなり、高くかかることがあります。

本当に、激安工事でいいですか? 3年後、5年後には最初からちゃんとした業者で施工してもらえば良かったと後悔することになりませんか?